交通事故件数の推移と部品需要|ピーク比7割減でも事故整備の売上は増えた
2026年10月6日
交通事故の件数は、20年前と比べて大きく減りました。警察庁の統計では、人身事故の件数は2004年(平成16年)の95万2,720件が過去最多で、2025年(令和7年)は28万7,023件です。ピークの約3割まで減ったことになります。事故が減れば、バンパーやライト、ラジエーターといった外装部品や事故修理の部品が出る回数も減るのではないか。鈑金工場と取引のある部品商なら、一度は考えたことがあるはずです。ところが、日整連の調査では整備業の事故整備の売上高は前年度より9.4%増えています。この記事では、交通事故件数の推移、物損事故の統計の扱い、事故整備の売上を公的な統計で確認し、部品商として何を見ておけばよいかを整理します。
交通事故件数の推移(警察庁の人身事故統計)
警察庁が毎年公表している交通事故の件数は、人の死亡または負傷を伴う人身事故の件数です。令和8年2月26日に公表された令和7年中の資料から、節目の年を抜き出すと次のようになります。
| 年 | 交通事故件数(人身事故) | 死者数 | 負傷者数 |
|---|---|---|---|
| 2004年(平成16年)過去最多 | 952,720件 | 7,436人 | 1,183,617人 |
| 2005年(平成17年) | 934,346件 | 6,937人 | 1,157,113人 |
| 2015年(平成27年) | 536,899件 | 4,117人 | 666,023人 |
| 2025年(令和7年)最新 | 287,023件 | 2,547人 | 338,508人 |
2025年の件数は前年より3,872件少なく、1.3%の減少でした。死者数は2,547人で、前年より116人、4.4%減っています。2025年の件数を比べると、10年前の2015年の53.5%、ピークの2004年の30.1%にあたります(割合は表の件数から計算した値です)。10年で約46%、21年で約70%減った計算です。
負傷者数も同じように減っており、2004年の118万3,617人は過去最多として警察庁の資料に記されています。件数の減り方は一時的な振れ幅を超えており、長い期間をかけて下がり続けてきたと読むのが自然でしょう。
交通事故件数の推移(2004年→2025年)
警察庁の統計によると、交通事故(人身事故)の件数は2004年(平成16年)の952,720件が過去最多で、2015年(平成27年)は536,899件、2025年(令和7年)は287,023件でした。2025年はピークの約30%、10年前の約54%の水準です。死者数も2004年の7,436人から2025年は2,547人に減っています。ただし、この件数は人身事故だけを数えたもので、ぶつけた、こすったといった物損事故は含まれていません。部品商が扱う外装部品の需要を考えるときは、人身事故の件数だけで判断しないように注意が要ります。
物損事故の件数は全国統計が無い
鈑金工場に入ってくる仕事の多くは、けが人の出ない接触や自損です。駐車場でこすった、壁に当てた、軽く追突したといった事故で、これらは物損事故に分類されます。部品商が本当に知りたいのは、こちらの件数かもしれません。
ところが、警察庁の交通事故統計は物損事故の全国件数を出していません。警察庁の「交通事故統計における用語の解説」には、交通事故の定義に人身事故と物損事故の両方を含めたうえで、次の一文があります。
「ただし、物損事故について計上しているのは、昭和40年以前の統計のみである。」(警察庁「交通事故統計における用語の解説」)
つまり、いまの全国の物損事故の件数は、警察庁の統計からは得られません。都道府県の警察が独自に公表している例はありますが、全国をまとめた数字は確認できませんでした。インターネット上で「物損事故は年間◯百万件」といった数字を見かけても、出どころが確かめられないものは使わないほうが安全です。
人身事故の件数が減っていることは確かでも、それと同じ割合で物損事故が減っているかどうかは、統計からは言えません。外装部品の需要を考えるときに、この空白があることは頭に置いておいてください。
事故整備の売上高(日整連 自動車特定整備業実態調査)
もう一つ見ておきたいのが、整備業の側の売上です。日本自動車整備振興会連合会(日整連)は、全国の認証工場を対象にした「自動車特定整備業実態調査」の結果の概要を毎年公表しています。最新の令和7年度調査(令和8年1月30日公表)では、作業別の売上高が次のように示されています。
| 作業の種類 | 売上高 | 備考 |
|---|---|---|
| 車検整備 | 2兆7,037億円 | |
| 定期点検整備 | 4,928億円 | |
| 事故整備 | 1兆2,253億円 | 前年度比 +9.4% |
| その他整備 | 2兆2,374億円 | |
| 総整備売上高 | 6兆6,592億円 | 前年度比 +4,031億円(+6.4%)、4年連続増 |
ここで注意したいのが年度の読み方です。令和7年度調査の売上高は、令和6年7月1日から令和7年6月30日までに決算が終わった事業の実績で、会計年度でいえば2024年度(令和6年度)の実績にあたります。「2025年度の売上」と書かれた解説を見かけたら、1年ずれていると考えてください。また、売上高は各地の整備振興会の会員事業場の2割を抽出して調べた結果から全体を推計した値です。
人身事故の件数が毎年少しずつ減っている時期に、事故整備の売上高は前年度より9.4%増えました。日整連の概要には、増えた理由までは書かれていません。考えられるのは、部品代や工賃の単価が上がったこと、一台あたりの修理の中身が重くなったことなどですが、統計で確かめられたわけではありません。少なくとも、事故の件数が減っても、事故修理の売上がそのまま減るとはかぎらないことは統計から読み取れます。
事故の減少が鈑金・外装部品に与える影響の考え方
では、部品商として外装部品の先行きをどう見ればよいのか。統計で確かめられることと、確かめられないことを分けて整理すると、次のようになります。
| 見たい指標 | 統計でわかること | 統計ではわからないこと |
|---|---|---|
| 人身事故の件数 | 2004年をピークに約7割減(警察庁) | 物損事故の増減 |
| 事故修理の市場 | 事故整備の売上は1兆2,253億円、前年度比9.4%増(日整連、2024年度実績) | 件数と単価のどちらが増えたか |
| 事故が減った理由 | 警察庁の資料では個別の要因を断定していない | 衝突被害軽減ブレーキがどれだけ効いたか |
長い目で見れば、ぶつかる回数そのものは減っていく方向にあると考えるのが妥当です。新車には衝突被害軽減ブレーキがほぼ全数付くようになり、2025年12月からは国産の継続生産車にも義務付けが広がりました。詳しくは衝突被害軽減ブレーキの義務化と部品商への影響にまとめています。
一方で、すでに走っている車が入れ替わるには時間がかかります。登録乗用車の平均車齢は9.44年(2025年3月末、自動車検査登録情報協会)で、衝突被害軽減ブレーキの付いていない年式の車もまだ多く走っています。平均車齢の推移は車の平均使用年数と平均車齢から見る補修部品の需要で取り上げました。
さらに、一台あたりの修理で使う部品の中身も変わってきています。バンパーの内側やグリルの裏にレーダーやカメラが付いている車では、外装部品と一緒にセンサー類やブラケットの交換が必要になる場合があり、修理後に機能の確認が求められることもあります。件数が減っても、扱う部品の種類と一件あたりの金額は変わっていく。外装部品の見通しは、件数と中身の両方で考える必要があります。
部品商が今やること(鈑金工場・整備工場との取引)
事故の件数が減る流れそのものは、部品商の力では変えられません。変えられるのは、どの取引先と、どんな部品で、どんな形で付き合うかです。統計から読み取れる範囲で、手を付けやすいものを並べます。
- 鈑金工場との取引を件数でなく中身で見直します。外装部品だけでなく、センサー周りの部品や、純正と優良、リサイクル部品の選択肢を一緒に出せるかを確認しておきます。部品の種類の違いは純正部品、優良部品、リビルト部品の違いで整理しています。
- 取引のある鈑金工場の数を増やします。日本カーネットは全国の整備工場、板金塗装工場、車両販売店のFAXリストとメールマガジン配信リストを保有しており、エリアと業態を絞って新規開拓の代行ができます。板金塗装工場は外装部品や塗料、副資材の需要が大きく、単価の高い取引につながりやすい相手です。
- 事故修理以外の売上の柱を厚くします。車検整備は2兆7,037億円と作業別で最も大きく、消耗部品が継続的に動きます。整備工場の棚に部品を置く常備部品と部品検索システムの形にすると、都度の配達を減らしながら取引を固められます。
- 事故の多い季節や地域の傾向は、自社の受注データで確かめます。全国の統計は大きな流れを知るためのもので、自社の商圏の需要は自社の数字にしか出てきません。
新規開拓の進め方は部品商の新規開拓の方法に、全体の考え方は自動車部品商の生き残り策にまとめています。自社の商圏でどの業態を狙うか迷ったときは、無料相談でご相談ください。
よくある質問
- 交通事故の件数はどのくらい減っていますか?
- 警察庁の統計では、交通事故(人身事故)の件数は2004年(平成16年)の952,720件が過去最多で、2025年(令和7年)は287,023件でした。ピークの約30%、10年前の2015年(536,899件)の約54%の水準です。
- 物損事故の件数の推移はわかりますか?
- 全国の物損事故の件数は、警察庁の統計では昭和40年以前しか計上されていません。都道府県警が独自に公表している例はありますが、全国の数字は確認できませんでした。人身事故の件数と同じ割合で物損事故が減っているかどうかは、統計からは判断できません。
- 事故が減っているのに事故整備の売上が増えているのはなぜですか?
- 日整連の令和7年度調査(2024年度実績)では、事故整備の売上高は1兆2,253億円で前年度比9.4%増でした。増加の理由は概要に書かれていません。単価の上昇や修理内容の変化が考えられますが、統計で確かめられた要因ではありません。
- 鈑金・外装部品の需要は今後減りますか?
- ぶつかる回数は長い目で見て減る方向にあると考えられますが、すでに走っている車が入れ替わるには時間がかかります。一台あたりの修理でセンサー類の部品が加わる場合もあるため、件数と修理の中身の両方を見て判断する必要があります。
- 鈑金工場の取引先を増やすにはどうすればよいですか?
- 日本カーネットでは、全国の板金塗装工場を含むFAXリストとメールマガジン配信リストを使い、エリアと業態を指定して新規開拓の代行を行っています。FAX原稿やメールの原稿も当社で用意します。
出典・参考資料
- 警察庁交通局「令和7年中の交通死亡事故の発生状況及び道路交通法違反取締り状況等について」(令和8年2月26日)表1-1〜1-3(e-Stat掲載)
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&lid=000001477119 - 同上 PDF本体
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/file-download?statInfId=000040418598&fileKind=2 - 警察庁「令和7年における交通事故の発生状況について」
https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/bunseki/nenkan/080226R07nenkan.pdf - 警察庁「交通事故統計における用語の解説」
https://www.npa.go.jp/publications/statistics/koutsuu/yougo.html - 日本自動車整備振興会連合会「令和7年度 自動車特定整備業実態調査結果の概要について」(令和8年1月30日)
https://www.jaspa.or.jp/Portals/0/resources/jaspahp/member/data/pdf/R07jittaityousa.pdf
記載内容は2026年10月6日時点で公表資料を確認したものです。統計は各機関の最新公表値で、今後更新されることがあります。
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