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EVの部品点数と部品商への影響|減る部品・残る部品と今からの備え

2026年10月6日

EVが増えると、エンジンまわりの部品が要らなくなり、部品商の売る物が減る。そうした話を聞く機会が増えました。実際のところ、いまの日本の新車販売でEVはどのくらいの割合なのか。国はEVの部品や整備についてどう書いているのか。日本自動車販売協会連合会(自販連)の統計では、2025年に登録された乗用車のうちEVは1.6%で、ハイブリッド車が60.4%を占めています。経済産業省は部品商向けの文書で、EVでは部品交換の機会が減ると見られると書いています。この記事では、公的な資料で確かめられることと、まだ確かでないことを分けたうえで、部品商にとって減る部品と残る部品、そして既存の車が走り続ける時間差の活かし方を整理します。

新車販売に占めるEV・ハイブリッドの比率(自販連 燃料別登録台数)

自販連は、登録された乗用車を燃料の種類別に集計して公表しています。最新の数字を並べると次のとおりです。

期間乗用車計ガソリンHVPHVディーゼルEV
2025年1〜12月2,533,523台31.9%60.4%1.6%4.5%1.6%(39,885台)
2025年度(2025年4月〜2026年3月)2,471,215台30.6%61.1%1.6%4.5%2.2%(54,390台)
2026年9月(単月)236,293台26.6%62.4%2.0%3.3%5.7%(13,440台)

この統計は登録車(乗用車)のみで、軽自動車は含まれていません。軽のEVはこの表に入っていません。また、日本メーカーが海外で生産した車は輸入車として数えられています。新車の販売に占める割合で、いま走っている車(保有車)に占めるEVの割合とは別の数字です。

2025年の1年間で見ると、ハイブリッド、プラグインハイブリッド、EV、燃料電池車を合わせた電動車は約63.6%になります(表の構成比から計算した値)。ただし、その大半はハイブリッド車で、エンジンを積んでいます。EVだけを見ると2025年は1.6%、2025年度は2.2%でした。2026年9月の単月では5.7%と上がっていますが、単月の数字は新型車の発売などで振れやすいため、年間の数字とあわせて見る必要があります。

新車の電動車比率(自販連、登録乗用車、2025年)

日本自動車販売協会連合会の燃料別登録台数によると、2025年1月から12月に登録された乗用車2,533,523台のうち、ハイブリッド車が60.4%、ガソリン車が31.9%、ディーゼル車が4.5%、プラグインハイブリッド車が1.6%、EVが1.6%(39,885台)でした。この統計は登録車の乗用車だけで、軽自動車は含みません。新車の6割がハイブリッドで、EVは1〜2%台というのが2025年の姿です。2026年9月の単月ではEVが5.7%で、月によって比率は動いています。

EVの部品点数と部品交換機会(経済産業省の補修部品ビジョン)

部品商に向けて国が書いた文書として、経済産業省製造産業局自動車課の「自動車補修部品産業未来ビジョン」があります。平成24年1月に策定され、平成26年12月に改訂されたもので、全日本自動車部品卸商協同組合のサイトに掲載されています。EVについては、次のように書かれています。

「電気自動車は従来の自動車と比較して内燃機関等が不要となることから使用部品点数も減少するため、車両を維持するための部品交換機会が減少すると見られている。」
「電気自動車は部品のモジュール化が進むことにより、一つの部品が大物化することで部品単価が上昇すると見られるが、整備機会や部品交換機会は減少すると見られ、補修部品販売事業者では補修部品売上の低下が懸念されている。」
「ブレーキについては回生ブレーキの採用により、ブレーキパッドの交換機会が低下することとなる。」
「電気自動車の整備ではアッセンブリ交換に集約される可能性も考えられる。」(経済産業省「自動車補修部品産業未来ビジョン」)

読み取れるのは、部品の点数と交換の回数が減る一方で、一つの部品が大きくなり単価は上がる見通しだということです。ブレーキパッドの交換が減ること、修理がアッセンブリ交換に寄っていく可能性も書かれています。ただ、この文書は2014年の改訂で、10年以上前のものです。書き方も「見られる」「可能性」という見通しの表現にとどまっています。

よく引用される「部品点数が約3万点から約2万点に減る」という話もあります。経済産業省のサイトに掲載された委託調査報告書(令和4年度、株式会社エヌ・ティ・ティ・データ経営研究所作成)には「現在3万点といわれる自動車部品点数は2万点まで減少するといわれている」と書かれています。ただし、これは報告書の本文自体が「といわれる」と伝聞で書いているもので、国が推計した数字ではありません。当サイトでは、約3万点が約2万点に減るともいわれている、という伝聞の扱いにとどめます。

EVの点検基準の検討状況(国土交通省の資料)

整備の側では、国土交通省がバッテリーEVに合わせた点検基準を検討しています。「バッテリーEVに特化した点検基準の検討状況について」という資料には、自家用乗用車の点検項目のうち、EVでは設定しない案と、そのまま残す案が示されています。

区分(案)主な点検項目
EVでは設定不要とする案エンジン・オイル、点火装置、エア・クリーナ、潤滑装置、燃料装置、排出ガス関連装置、エグゾースト・パイプ及びマフラ、クラッチなど
EVでも設定するとされている項目ブレーキ、タイヤ、足回り、冷却水、補機用バッテリなど

この資料は検討段階の案で、点検基準が改正されたものではありません。資料には「第1回検討会資料再掲」とあり、検討会の回や開催日は資料の中で確認できませんでした。改正の時期や内容が決まったものとして扱わないでください。

案の段階とはいえ、国の資料でエンジンオイルやマフラーの点検がEVでは要らなくなる方向が示されていること、ブレーキやタイヤ、足回り、冷却系、補機バッテリーの点検は残る方向であることは、部品商が品目を考えるうえで参考になります。

EVで減る部品と残る部品(部品商の品目の考え方)

ここまでの資料をもとに、部品商の品目を三つに分けて考えてみます。割合や時期の数字は公的な資料に無いため、方向だけを示します。

方向品目の例根拠や考え方
EVでは出なくなる方向エンジンオイル、オイルフィルター、点火プラグ、エアクリーナ、燃料系、排気系(マフラー)、クラッチ国交省の点検基準の検討案で「EVでは設定不要」とされた項目に対応します
EVでも残る方向タイヤ、ブレーキ部品、足回り部品、冷却系、補機バッテリー点検基準案で残るとされた項目に対応します。ブレーキパッドは回生ブレーキで交換の機会が減るとビジョンに書かれています
単価が上がる方向モジュール化した大物部品、アッセンブリ部品ビジョンでは部品単価の上昇とアッセンブリ交換への集約の可能性が示されています

気をつけたいのは、新車の6割を占めるハイブリッド車はエンジンを積んでいる点です。オイルやフィルター、プラグといったエンジンまわりの部品は、ハイブリッド車でも引き続き必要になります。一方で、ハイブリッド車にも回生ブレーキを使う車種が多く、ブレーキパッドの減り方はガソリン車と同じとはかぎりません。EVかどうかだけでなく、取引先に入ってくる車の中身を見て品目を考えることになります。

ビジョンには、今後も需要が見込める商材としてタイヤや外装部品に力を入れる方向も書かれています。外装部品の需要については交通事故件数の推移と部品需要で、事故そのものの減少とあわせて取り上げています。

既存のエンジン車が走り続ける「時間差」の活かし方

新車の比率が変わっても、いま走っている車がすぐに入れ替わるわけではありません。自動車検査登録情報協会によると、2026年6月末の保有台数は83,086,808台です。登録乗用車の平均車齢は9.44年、平均使用年数は13.35年(2025年3月末)で、どちらも長くなる傾向にあります。2025年に新車で売れたガソリン車やハイブリッド車の多くも、10年以上は走り続けると考えられます。

この時間差は、何もしなくても売上が守られる期間ではありません。エンジン車の部品の需要が続くうちに、取引先との関係と、品目を入れ替えられる仕組みを整えておく期間です。車齢の推移と補修部品の需要は車の平均使用年数と平均車齢で詳しく取り上げています。

取引先の整備工場にとっても、EVやハイブリッド車の整備は設備と知識の準備が要る分野です。どの車がどれだけ入庫しているのか、どの部品がどれだけ出ているのかを、整備工場と一緒に数字で見られる部品商は、品目の入れ替えを相談される相手になりやすいでしょう。

部品商が今やること(電動化への備え)

  1. 取引先ごとに、どの部品がどれだけ動いているかを数字で持ちます。常備部品と部品検索システムでは、整備工場の棚の部品ごとに在庫数、基準数、利用数が並び、部品商の管理画面で問合せ件数と注文件数の推移を確認できます。EVやハイブリッド車の入庫が増えて動きの鈍った品目は、基準在庫を見直して棚から外していけます。
  2. 電動化で残る品目(タイヤ、ブレーキ、足回り、冷却系、補機バッテリーなど)を常備部品の中心に据え、エンジンまわりの品目はハイブリッド車を含めた入庫の様子を見ながら段階的に絞ります。
  3. 取引先の数を広げて、品目が減る分を取引の数で補います。新規開拓の代行では、エリアと業態を指定して整備工場や板金塗装工場、車両販売店に案内を届けられます。
  4. 部品以外の収益源を用意します。整備工場との関係を活かして整備システム・整備ソフト DREAM POWER などを販売する整備システムの代理店は、在庫を持たずに始められ、他社システムとの併売もできます。詳しくは部品商が整備システムの代理店になるにはで説明しています。

部品商全体の打ち手は自動車部品商の生き残り策に整理しています。取引先の入庫の変化に合わせて品目をどう見直すか、無料相談でご相談いただけます。

よくある質問

EVになると部品点数はどれくらい減りますか?
経済産業省のサイトに掲載された委託調査報告書には「約3万点といわれる自動車部品点数は2万点まで減少するといわれている」と書かれていますが、本文自体が伝聞の表現で、国の推計値ではありません。経済産業省の補修部品ビジョンも、部品点数と部品交換の機会が減ると「見られる」という見通しの表現にとどめています。
新車に占めるEVの割合はどのくらいですか?
自販連の燃料別登録台数では、2025年1〜12月に登録された乗用車のうちEVは1.6%(39,885台)、ハイブリッド車は60.4%でした。この統計は登録車の乗用車のみで、軽自動車は含みません。2026年9月の単月ではEVが5.7%でした。
EVで部品商の売上はどう変わりますか?
経済産業省のビジョンは、部品交換の機会が減る一方で、部品のモジュール化で一つの部品の単価は上がると見ています。エンジンオイルや点火装置、排気系の需要はEVで減る方向ですが、タイヤやブレーキ、足回り、冷却系、補機バッテリーは残る方向です。
EVの点検基準は変わりましたか?
国土交通省がバッテリーEVに特化した点検基準を検討しており、エンジン・オイルやマフラなどを「EVでは設定不要」とする案が示されています。ただし検討段階の資料で、点検基準が改正されたものではありません。
ハイブリッド車はEVと同じように考えてよいですか?
ハイブリッド車はエンジンを積んでいるため、オイルやフィルター、プラグなどの部品は引き続き必要です。新車の6割はハイブリッド車なので、EVの比率だけで品目を判断しないことが大切です。

出典・参考資料

記載内容は2026年10月6日時点で公表資料を確認したものです。統計は各機関の最新公表値で、今後更新されることがあります。

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