自動車部品卸売業の事業所数と販売額|経済センサスで見る部品商の現在地
2026年10月6日
自動車部品の卸をしている会社は、全国にどれくらいあるのか。国の統計では、部品商にあたる業種は日本標準産業分類の細分類5422「自動車部分品・附属品卸売業(中古品を除く)」に入ります。令和3年経済センサス‐活動調査では、この業種の法人の事業所は8,083、従業者は9万8,650人、年間商品販売額は約10兆2,373億円(2020年の実績)でした。5年前と比べると、法人の事業所数は約15%減っています。ただし、この統計は調査ごとに集計の範囲が違い、数字をそのまま並べると読み違えます。この記事では、経済センサスと商業統計の数字を注意点とあわせて確認し、取引先である整備業の統計と並べて、部品商が置かれている位置を整理します。
自動車部品卸売業の事業所数と従業者数(細分類5422)
政府統計の総合窓口(e-Stat)で公開されている経済センサス‐活動調査と商業統計から、細分類5422の数字を抜き出すと次のとおりです。
| 調査 | 事業所数 | うち法人 | 従業者数 | 年間商品販売額 |
|---|---|---|---|---|
| 平成26年商業統計(2014年) | 9,369 | 8,362 | 92,254人 | 8兆4,069億円 |
| 平成28年経済センサス‐活動調査(2016年) | 10,393 | 9,479 | 104,589人 | 12兆6,203億円 |
| 令和3年経済センサス‐活動調査(2021年) | 8,083(法人のみ) | 8,083 | 98,650人(法人のみ) | 10兆2,373億円(法人のみ、2020年の実績) |
さらにさかのぼると、平成19年商業統計では10,455事業所、95,768人、9兆1,791億円、平成6年商業統計では12,574事業所、117,229人、9兆3,195億円でした。平成6年(1994年)から見ると、事業所の数は長い期間をかけて減ってきたことがうかがえます。
自動車部品卸売業の規模(令和3年経済センサス)
自動車部分品・附属品卸売業(中古品を除く、細分類5422)は、令和3年経済センサス‐活動調査で法人の事業所が8,083、従業者が98,650人、年間商品販売額が10兆2,373億円でした。販売額は2020年1月から12月までの1年間の実績で、新型コロナウイルス感染症が広がった年にあたります。平成28年の同じ調査では法人の事業所が9,479あり、法人どうしで比べると5年で約15%減っています。2021年の数字には個人経営の事業所が含まれていないため、事業所の総数を比べることはしないほうが安全です。
自動車中古部品卸売業(細分類5423)
中古部品の卸は別の細分類5423「自動車中古部品卸売業」に分かれています。リユース部品やリビルト部品を扱う事業者の一部はこちらに入ります。
| 調査 | 事業所数 | 従業者数 | 年間商品販売額 |
|---|---|---|---|
| 平成26年商業統計 | 843 | 7,375人 | 1,806億円 |
| 平成28年経済センサス | 1,125 | 8,959人 | 2,420億円 |
| 令和3年経済センサス(法人のみ) | 810 | 8,234人 | 2,508億円 |
5422と比べると規模は小さく、販売額は2016年の調査より2021年の調査のほうが大きい数字になっています。ただし、5422と同じく2021年は法人のみの集計で、販売額の対象の年も違うため、増えたとは言い切れません。リサイクル部品の定義は純正部品、優良部品、リビルト部品の違いで整理しています。
経済センサスで部品卸を読むときの注意(法人のみ、2020年実績、名簿の違い)
部品卸の統計は、調査ごとに数え方が違います。総務省と経済産業省の「利用上の注意」に書かれている点を中心に、読み違えやすいところを挙げます。
- 令和3年の個人経営の事業所は、産業小分類(3桁)までしか格付けされていません。細分類5422の8,083は法人の事業所だけで、平成28年の10,393には個人の914事業所が含まれています。
- 令和3年の年間商品販売額は、令和2年(2020年)1月1日から12月31日までの1年間の実績です。新型コロナウイルス感染症が広がった年で、平常の年と同じ条件ではありません。
- 平成28年から令和3年のあいだに、調査の名簿の作り方が変わっています。総務省は結果の概要で、単純な比較に注意するよう求めています。
- 平成19年以前と平成26年の年間商品販売額は商業統計の数字で、経済センサスとは調査の仕組みが違います。
この記事で言えるのは「法人の事業所数は5年で約15%減った(9,479→8,083)」というところまでです。販売額は12.6兆円から10.2兆円に下がっていますが、対象の年と集計の範囲が違うため、減少率としては扱いません。従業者数も、平成28年の104,589人には個人経営の分が含まれるため、令和3年の98,650人と並べても増減は論じられません。なお、e-Statで自動車部品の卸を探すときは細分類の5422と5423を見てください。
整備事業場数・整備売上高との対比
部品商の取引先である整備工場の側はどうなっているのか。日本自動車整備振興会連合会(日整連)の実態調査(平成27年度までは「自動車分解整備業実態調査」、現在は「自動車特定整備業実態調査」)と並べると、違いがはっきりします。
| 統計 | 以前 | 最新 | 動き |
|---|---|---|---|
| 部品卸(5422)法人の事業所数 | 9,479(2016年) | 8,083(2021年) | 5年で約15%減った |
| 整備の事業場数(認証工場) | 92,160(平成27年度調査) | 92,251(令和7年度調査) | ほとんど変わっていない |
| 指定工場数 | 29,737(平成27年度調査) | 29,810(令和7年度調査) | ほぼ同じだが、3年連続で減っている |
| 総整備売上高 | 5兆5,133億円(平成27年度調査) | 6兆6,592億円(令和7年度調査) | 約1.21倍に増えた |
時点も調査の方法も違う統計なので、比率どうしを計算することはしません。そのうえで傾向を読むと、取引先の整備工場の数はほとんど変わらず、整備の売上高は増えているのに、部品卸の法人事業所は減っています。整備の売上高は、令和7年度調査では2024年度の実績で、各地の整備振興会の会員事業場の2割を抽出して推計した値です。
取引先の数が変わらず部品商の数が減っているなら、残った部品商が受け持つ整備工場の数は増える方向にあると考えられます。廃業や統合で取引先を失った整備工場は、新しい仕入先を探すことになります。部品商にとっては、取引先を引き継ぐ機会が生まれているとも読めます。一方で、整備事業場は令和7年度調査で4年ぶりに減り、整備要員の平均年齢は47.7歳でした。整備工場の側でも後継者の問題は進んでおり、取引先の数がこの先も横ばいで続くとはかぎりません。
統合や廃業が進む中での部品商の生き残り
部品卸の事業所が減っている理由は、統計からは読み取れません。業界で語られる要因としては、後継者がいないことによる廃業、地域の部品商どうしの統合、大手の卸による買収などがあります。事業承継やM&Aは会社ごとの事情によるところが大きく、この記事で一般論として良し悪しを言うことは控えます。
残る側の部品商に求められるのは、取引先を引き継いだときに、配達の負担を増やさずに受け持てる体制です。整備工場の数が同じで部品商が減れば、一社あたりの配達の範囲は広がりやすくなります。都度注文、都度配達のままでは、取引先が増えるほど営業担当が配達に追われ、利益が残りにくくなります。部品商の受発注のデジタル化や預託在庫・常備部品は、この問題への備えとして考えられます。
部品商が今やること(取引先を引き継げる体制づくり)
- 整備工場の棚に部品を置き、使った分を精算して補充する常備部品の形を、主な取引先から始めます。配達を補充のタイミングにまとめられるため、受け持つ工場が増えても配達の回数を抑えやすくなります。
- 受注を電話とFAXから画面に移します。部品検索システムでは、整備工場が型式類別から適合部品と棚番を確認し、棚にない部品もそのまま注文できます。受注ステータスはスマートフォンで確認でき、ブロックや支店、営業担当ごとに見られる範囲を分けられます。
- 廃業や統合で仕入先を探している整備工場に、こちらから声をかけます。新規開拓の代行では、全国の整備工場、板金塗装工場、車両販売店のFAXリストとメールマガジン配信リストを使い、エリアと業態を指定して案内を届けられます。原稿も当社で用意します。
- 部品以外の収益源を持つことも選択肢です。整備工場との付き合いを活かして整備システムを販売する整備システムの代理店は、在庫を持たずに始められます。詳しくは部品商が整備システムの代理店になるにはをご覧ください。
全体の考え方は自動車部品商の生き残り策にまとめています。取引先の引き継ぎや新規開拓の進め方で迷ったときは、無料相談をご利用ください。
よくある質問
- 自動車部品の卸売業者は全国にいくつありますか?
- 令和3年経済センサス‐活動調査では、自動車部分品・附属品卸売業(中古品を除く、細分類5422)の法人の事業所は8,083でした。個人経営の事業所は細分類まで集計されていないため、この数字には含まれていません。
- 自動車部品卸売業の市場規模はどのくらいですか?
- 同じ調査で、細分類5422の法人の年間商品販売額は10兆2,373億円でした。これは2020年1月から12月の実績で、新型コロナウイルス感染症が広がった年にあたります。
- 部品商の数は減っていますか?
- 法人の事業所どうしで比べると、平成28年の9,479から令和3年の8,083へ、5年で約15%減っています。ただし調査の名簿の作り方が変わっているため、総務省は単純な比較に注意を求めています。
- 整備工場の数も減っているのですか?
- 日整連の調査では、整備の事業場数は平成27年度調査の92,160に対して令和7年度調査は92,251で、ほぼ横ばいです。ただし令和7年度調査では前年度から133事業場減り、4年ぶりの減少になりました。
- 中古部品の卸売業の統計はありますか?
- 細分類5423「自動車中古部品卸売業」として集計されています。令和3年の調査では法人の事業所が810、従業者が8,234人、年間商品販売額が2,508億円でした。
出典・参考資料
- 総務省・経済産業省「令和3年経済センサス‐活動調査 産業別集計(卸売業,小売業)産業編(総括表)」統計表ID 0004003240(e-Stat)
https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0004003240 - 総務省・経済産業省「平成28年経済センサス‐活動調査 産業別集計(卸売業,小売業)産業編(総括表)表3-1」統計表ID 0003389426(e-Stat)
https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0003389426 - 総務省・経済産業省「令和3年経済センサス‐活動調査 産業別集計(卸売業,小売業)利用上の注意」
https://www.stat.go.jp/data/e-census/2021/kekka/pdf/oroshikouri_riyou.pdf - 総務省・経済産業省「令和3年経済センサス‐活動調査 結果の概要」
https://www.stat.go.jp/data/e-census/2021/kekka/pdf/k_outline.pdf - 日本自動車整備振興会連合会「令和7年度 自動車特定整備業実態調査結果の概要について」(令和8年1月30日)
https://www.jaspa.or.jp/Portals/0/resources/jaspahp/member/data/pdf/R07jittaityousa.pdf - 日本自動車整備振興会連合会「平成27年度 自動車分解整備業実態調査結果の概要について」(平成28年1月21日)
https://www.jaspa.or.jp/Portals/0/resources/jaspahp/member/data/pdf/H27jittaityousa.pdf - このサービスは、政府統計総合窓口(e-Stat)のAPI機能を使用していますが、サービスの内容は国によって保証されたものではありません。
https://www.e-stat.go.jp/api/
記載内容は2026年10月6日時点で公表資料を確認したものです。統計は各機関の最新公表値で、今後更新されることがあります。
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